結論:43,800円は「退職までの費用」。お金の請求を頼むなら別費用がかかります
- 弁護士が対応する退職代行。基本料金は43,800円です。
- 比較サイトでよく見かける「43,800円・追加費用なし」という表記は、正確ではありません。 公式資料が挙げる15項目のうち8項目に、別費用の脚注が付いています(詳しくは後述)。
- ただし有給休暇の調整と退職日の調整は、追加費用なしの範囲に入っています。 「有休を使い切って辞めたい」だけなら、43,800円で収まります。
- 弁護士が動くので、交渉も金銭請求も一貫して扱えます。ただし申し込みの前に十分な相談ができるかどうかは、事前に確かめたほうがいいサービスです。
「自分で労基署に行く」と「弁護士に任せる」の間にあるもの
中の人だった頃、会社に有給の消化を断られた依頼者には、労働基準監督署へ行ってもらっていました。会社の方針でした。
そのあとどうなったかは、正直なところ追えていません。私が見ていた範囲での感触では、行けば取れることが多かった。ただしこれは統計ではなく、当時の私の印象です。
もうひとつ、覚えていることがあります。取れる可能性があっても、途中で諦める人がいました。
手続きが面倒だから、ではないと思います。もうその会社と関わりたくないという気持ちのほうが強かったのだと思います(これは私の見方です)。労基署に相談すれば、会社にも話がいきます。辞めると決めた相手と、もう一度やりとりが発生する。
権利があることと、権利を行使できることは、別なんです。そして行使をやめる理由は、手間よりも感情のほうが大きい。
退職110番の43,800円をどう見るかは、ここに関わってきます。自分で動けるなら、この金額は要らないかもしれません。動けないと分かっているなら、代わりに動く人を頼む費用として見る余地があります。
運営について、先に断っておきます
公式サイトのURLには aoba.lawyer というドメインが使われており、当サイトの旧記事(2023年8月公開)には「弁護士法人あおばが運営」と書いていました。
ただし2026年8月22日に公式ページを確認した時点では、運営法人名がページ本文に明記されているのを確認できませんでした。 依頼先の法人名は、契約前に必ず自分の目で確認してください。これは退職110番に限らず、どのサービスでも同じです。
料金:43,800円と、その先にある費用
基本料金:43,800円(2026年8月22日 確認)。金額は公式サイトの表示どおりに記載しています。税の別が明記されていない場合があるため、申し込み前にご確認ください。
弁護士が対応する退職代行としては安いほうです。同じ弁護士型の弁護士法人みやびは27,500〜77,000円の3プラン制で、その中位プラン(55,000円)より額面は安く見えます。
ただし額面だけでは比較になりません。 みやびの55,000円は交渉と金銭請求を含む価格であるのに対し、退職110番の43,800円は退職手続きまでの価格です。理由は次のとおりです。
「追加費用なし」は正しくありません。ただし、多くの人には関係ない話です
退職110番の公式資料には、弁護士が対応できる項目を15個並べた比較表があります。15項目すべてに「対応可」と付いていて、一見すると全部込みに見えます。
しかし、その15項目のうち8つに、脚注番号が付いています。 脚注を読むと、こう書かれています(いずれも税別)。
- ※1 — 別途 回収額の20%(労働審判の場合は25%、裁判の場合は30%。双方、期日ごとに別途2万円)
- ※2 — 別途 10万円
- ※3 — 別途 請求を退けた額の35%相当額
出典:退職110番 公式資料「弁護士資格の有無による実行可能項目の比較」(2026年8月22日 当サイトで確認)
この脚注が、どの項目に付いているのかを整理すると、料金の全体像が見えます。
A. 43,800円に含まれるもの(脚注なし・7項目)
退職の意思を伝える/会社とのやりとり/退職に必要な書類の作成と請求/引き継ぎの調整/有給休暇の調整/退職日の調整/私物と返却物の調整
B. 回収額に応じた成功報酬がかかるもの(※1・5項目)
残業代の請求/未払金の請求/退職金の請求/慰謝料の請求/労災保険の申請
C. 定額の追加費用がかかるもの(※2・2項目)
社宅退去の仲介/借入金返済の交渉
D. 別枠の成功報酬がかかるもの(※3・1項目)
訴訟対応
ここが判断の分かれ目です
Aだけで済む人にとっては、43,800円が総額です。 そして注目すべきは、有給休暇の調整と退職日の調整がAに入っていること。「有休を全部使い切って辞めたい」という、退職代行を使う人の多くが望むことは、追加費用なしで頼めます。
一方、B・C・Dに手を出すと、費用は43,800円では止まりません。 未払い残業代を100万円回収できたなら、20万円+税が別途かかる計算です。
多くの比較サイトが書いている「43,800円・追加費用なし」は、Aの範囲だけを見た表現です。この記事では採用しません。 正しくはこうです。
退職手続きそのものは43,800円。 ただし未払い残業代・退職金・慰謝料などの請求(B)、社宅退去や借入金の交渉(C)、訴訟対応(D)を依頼する場合は、それぞれ別費用がかかります。
なお、成功報酬の考え方自体は、弁護士に金銭請求を依頼するときのごく一般的なものです。問題は金額ではなく、「追加費用なし」と説明されて申し込み、あとで話が違うと感じることになる点です。
※「追加費用なし」という文言が退職110番自身の広告表現なのか、比較サイトが独自に書いたものなのかは、当サイトでは確認できていません。
弁護士型と、それ以外の違い
退職110番の公式資料は、弁護士資格の有無で対応できる範囲がどう変わるかを整理しています。要旨はこうです。
- 弁護士が対応する退職代行は、退職の意思を伝えるところから、有休や退職日の交渉、未払い分の請求、法的な手続きまで、一貫して扱えるとされています。
- 弁護士資格を持たない事業者は、退職の意思を伝えることと、会社からの連絡を取り次ぐことが中心になります。会社との交渉に踏み込む行為は、弁護士法72条(いわゆる非弁行為)との関係で問題になり得るとされ、多くの事業者が利用規約で「取次に限る」と明記しています。
ただし、労働組合が運営する退職代行は、団体交渉権を根拠に会社と交渉できるという整理がされており、「弁護士以外はすべて伝えるだけ」というわけではありません。ただし、労働組合型であれば当然にすべての交渉が適法になるという意味ではありません。組合としての実体や交渉の範囲によって評価は変わり得ます。このあたりの線引きは退職代行の選び方で詳しく扱っています。
※法的な評価は個別の事情によって変わり得ます。ここでの説明は一般的な整理であり、特定のサービスの適法性を判断するものではありません。
気をつけたい点
1. 相談手段が公式で確認できませんでした。
当サイトの旧記事(2023年8月公開)には「LINE相談ができず、問い合わせフォームからメールでやりとりする」と書いていました。しかし2026年8月時点の公式サイトでは、相談方法の記載を確認できませんでした。 変わっている可能性があります。43,800円を払う判断をする前に、どういう手段でどこまで相談できるのかを最初に確かめてください。
2. 対応時間も確認できませんでした。
旧記事には「平日9:00〜18:00」と書いていましたが、2026年8月時点では裏が取れませんでした。急いでいる場合は、まず問い合わせて返信の速さを見てください。
3. オプション料金の全体像がつかみにくい。
上記の脚注以外に、どの項目にいくらかかるのかは、相談しないと分かりません。金銭請求を考えているなら、依頼前に見積もりを文面でもらってください。
4. 決済方法・返金保証も公式で確認できませんでした。
比較サイトの記載を鵜呑みにせず、相談時に確認することをおすすめします。
口コミ
X(旧Twitter)で確認できる投稿は、ほとんどありません。
当サイトが2023年8月に確認した投稿を1件掲載していましたが、2026年8月30日に再確認したところ、その投稿は見つかりませんでした。削除された可能性があります。裏が取れないため、この記事では口コミを根拠にした評価はしません。
判断材料が少ないという前提で読んでください。悪い評判が見当たらないことと、評判が良いことは違います。
退職110番が向いている人・向いていない人
向いている人
- 未払い残業代・退職金・慰謝料など、お金の請求まで弁護士に任せたい
- 会社との間にトラブルがあり、法的な対応が必要になりそう
- 相談から着手まで、数日待てる時間の余裕がある
- 弁護士型のなかでは費用を抑えたい
向いていない人
- 今すぐ会社に連絡してほしい
- 相談しながらじっくり決めたい(相談手段が公式で確認できないため、まず問い合わせて確かめる必要があります)
- 辞められればそれでよく、交渉も請求も不要
最後の項目に当てはまるなら、労働組合型のほうが安く、対応も速い傾向があります。→退職代行の選び方
申し込みの流れ
※以下は2023年8月 当サイト調べの流れです。2026年8月時点では再確認できていません。
- 公式サイトの問い合わせフォームから連絡
- 申し込み・支払い
- 必要書類(給与明細、在籍を示す書類など)のデータを提出
- 退職110番が、弁護士名義の退職通知を勤務先へ送付
- 貸与品の返却、退寮などの事務手続き、有休消化の申請、離職票の手配
注意: この流れでは、相談より先に申し込みと支払いが来ます。支払う前に確認したいことがある場合は、問い合わせの段階ですべて聞いてください。
よくある質問
Q. 本当に43,800円だけで済む?
退職の手続きと、有休・退職日の調整までなら、その範囲です。 未払い残業代・退職金・慰謝料などの請求は回収額の20%(労働審判25%・裁判30%)、社宅退去や借入金返済の交渉は10万円、訴訟対応は請求を退けた額の35%相当額が別途かかります(いずれも税別)。
Q. 業務委託や請負でも頼める?
当サイトが2023年に確認した際は「対象外」とされていました(2026年8月時点では再確認できていません)。業務委託・会社役員などの立場の方は、弁護士法人みやびの77,000円プランが対応範囲として明示されています。
Q. 深夜でも申し込める?
フォームからの送信自体はいつでも可能です。ただし返信がいつ来るかは、2026年8月時点の公式サイトでは確認できませんでした。
まとめ
退職110番は、弁護士型としては価格が抑えられており、金銭請求まで一貫して任せたい人には合理的な選択肢です。
そして「有休を使い切って辞めたい」だけなら、43,800円で収まります。 ここは素直に評価できる点です。
一方、「43,800円・追加費用なし」という説明のまま金銭請求まで頼むと、後で認識のずれが起きます。お金の請求・社宅や借入の交渉・訴訟対応は別費用——ここだけは、相談の最初に確認してください。
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※料金・条件は2026年8月22日時点で確認したものです。「2023年 当サイト調べ」と記した箇所は当時の確認内容であり、現在も同じとは限りません。申し込み前に必ずご自身で最新の情報をご確認ください。