退職代行で本当に会社を辞めることができるのか?

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うちの会社、相当ブラックで社長も人の話を聞かないようなタイプだけど、退職代行で本当に退職できるの?

もしも退職代行に依頼して失敗してしまったら、余計に会社に行きづらくなりそう……。

今日はこんな疑問について、元退職代行として10,000人以上の相談を受け、1,000件以上の退職に関わってきた私、タケシが話していきます。

結論:退職できます。

理由を「論理」と「実際はどうなのか」の2つの観点から考えていきます。

論理

まず、なぜ退職代行で本当に退職できるのかを論理的に考えていきます。

そもそも、退職代行を利用しなくても退職はできます。「退職の意思」を伝えれば退職できるからです。これは退職代行を利用したときも同じです。

期間の定めのない雇用契約であれば、退職の申入れから2週間の経過によって契約は終了するとされています(民法627条1項)。退職代行は、その「意思を伝える」部分を代わりに行っているにすぎません。

※有期雇用契約や公務員は手続きが異なります。法令に関する記述は一般的な説明であり、個別の判断は専門家にご相談ください。

実際はどうだったのか

次に、私が退職代行の中の人だった頃の経験からお伝えします。

当時いた退職代行では15,000件以上の代行を行っていましたが、その中で「退職できなかった」というケースは1件もありませんでした。

どのようなブラック企業が相手であれ、退職できないということはありません。サンプル数が3件程度であれば当てにはなりませんが、15,000件以上あれば信頼していい数字だと思います。

※上記は、私が在籍していた当時に社内で共有されていた件数です。特定の事業者の実績として掲載するものではありません。

ただし、退職率は100%ではありません

退職できなかったケースは1件もありませんでしたが、実は退職率自体は100%ではありません。

どういうことでしょうか。

退職代行を行ったにもかかわらず、退職に至らないケースがあります。それは『退職を依頼者の意思で取りやめた』というケースです。

具体的には、退職代行を行ったら会社から休職の提案をされて、それに同意して退職しないことにした、というものです。滅多にありませんが、中にはこういったケースもありました。

これは退職できなかったのではなくて、退職を取りやめたということになります。

会社が休職を提案し、労働者(依頼者)もそれに同意している。お互い同意しているにもかかわらず、これを無理やり退職させるような退職代行があれば、逆にヤバいやつらですよ。世にも奇妙な物語に出演できそうです。

退職代行にできることの限界

ここは誤解が多いところなので、はっきり書いておきます。

退職代行が会社に伝えるのは、あくまで「あなたの要望」です。 法的拘束力があるわけでもなければ、人の行動を強制できるわけでもありません。

だからこそ、次の話が重要になります。

「退職できなかった」の正体

退職に至らなかったわけではありませんが、以下のようなケースもありました。

とある日、依頼者Aさんの退職代行を実行してから数日後のこと。LINEにて。

Aさん「退職代行後に直接会社と話し合った結果、退職できなかった」

私「退職できなかったというのはどういうことでしょうか。何があったのでしょうか」

Aさん「退職できなかったので返金してほしい」

よくよく聞いてみると、退職代行を行った後に会社から直接呼び出されて面談し、その結果退職できなかった、ということらしいです。

Aさんは退職「できなかった」と言っていましたが、退職するかどうかはAさんの意思次第なんです。

会社からどのような説得があれ、最終的にAさんが「退職しない」と言ったのであれば、退職しないことになります。

心の奥底では「退職したい」と思っていても、それを他の人に伝えなければ退職はできません。「◯◯さん、口では続けるって言ってるけど、本当は退職したいんじゃないかな。よし、退職させよう」なんて社長はいません。

退職できなかったのではなくて、退職しないということを自分で選んだということになります。

まあ、後頭部に銃を突きつけられて「続けるか、それとも死ぬか」と脅されたのであれば話は別です。その場合は続けると答えるしかないでしょう。続けると言って解放された後に警察へ行ってください。

銃を突きつけられないまでも、圧迫面談をされて不本意ながら退職を取り下げた、ということもあるかと思います。ただ、たとえ不本意であろうと、本人が退職しないと言ったら退職しないんです。退職代行がいくら頑張ったところで無理です。

これは退職できないのではなくて、退職しないんです。

まあ、一回「退職しない」と言ったところで、また退職すると言えば良いんですけどね。

実際このAさんのケースにおいては、そもそも話し合いに応じないほうが良かったでしょう。もちろん礼儀や社会人のマナーを大事にするなら話し合いに応じた方がいいのは確かですが、『退職』を目的とした場合、話し合いで自分の意思をしっかり伝えられないのであれば、応じないのが吉です。

私がいた退職代行では代行実施後も追加料金なしで相談を受け付けていましたので、Aさんには話し合いに出陣する前に一度相談してほしかったところです。

もちろん、退職代行後の会社との話し合いに応じて「最後は自分で決着をつける」というのであれば、その人の意思を尊重していました。

Aさんはその後どうなったかというと、退職の意思の有無を再度確認し、退職はしたいということでしたので、また退職の意思を会社に伝えて退職に至りました。うろ覚えですが、退職届もまた出してもらったような気がします。

「そもそも詐欺じゃないの?」への回答

退職代行時代、相談を受けている時にたまに聞かれることがありました。

「詐欺じゃないんですか?」

もうね、ぶっちゃけて良いですか。どこの世界に「詐欺ですよ」と正直に話す詐欺師がいるんですか。

自分を詐欺師だという詐欺師はいない理論で、私が詐欺ではないと言っても意味はないかと思いますので、客観的に考えていきます。

客単価が低すぎて、詐欺を働く合理性がない

私がいた退職代行の費用は3万円弱でした。お客さん1人あたり3万円ほどの収益です。実際はここから宣伝費・広告費・人件費が引かれ、純利益はもっと少なくなります。

一方で初期費用として、サイトの作成、法人の設立、代行連絡を行う労働組合の設立などに費用と手間がかかります。

そして仮に詐欺を行っていた場合、今の時代すぐにネットに拡散され、訴訟にも発展し、少なくともすぐに運営を続けられなくなるでしょう。

つまり、初期費用がかかる割に客単価3万円程度では割に合わないのです。 しっかり退職代行を行ったほうが、事業者にとっても利益が出ます。

一般的に詐欺は持続性がないため、客単価が数百万円〜のものが多いと言われています。一気に莫大なお金を巻き上げてすぐに逃げないと捕まってしまうからです。

ただし、これは「業態として詐欺が成立しにくい」という話であって、個別の事業者を保証するものではありません。 事業者選びについては退職代行の選び方退職代行って違法?非弁ってなんだ?をご覧ください。

まとめ

今回は退職代行で本当に退職できるのか、ということについて話しました。

結論:退職はできます。ただし、退職の意思を自分自身がしっかり持っている場合です。

退職代行が伝えるのはあなたの要望であって、あなたの代わりに決断してくれるわけではありません。ここだけは、依頼する前に腹をくくっておいてください。

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