退職代行って違法じゃないの?
ネットとかで調べると「退職代行は違法」って記事が見つかるけど
- 本当に大丈夫なのだろうか?
- 退職できるのだろうか?
- 逮捕されたりしないだろうか?
そんな感じで調べれば調べるほど不安になってしまう人もいるかと思います。
退職代行利用しても本当に大丈夫なのか?
今回は元退職代行として10,000人以上の退職に携わってきた
私タケシと一緒に考えていきましょう。
まず何故退職代行が違法ではないのか?と言われているのかというと
これは主に
『退職代行は非弁行為にあたる可能性がある』
と言われているからです。
非弁行為とは?
弁護士法第72条より
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
簡単にいうと
非弁行為というのは弁護士ではないものが報酬を得る目的で法律に関する業務を行う
ことらしいです。
そして
『退職代行は非弁行為にあたる可能性がある』
と主張しているのは主に弁護士の方です。
もちろん弁護士の方によって見解は若干異なります。
「退職代行を行うさいに、退職日の調整や、未払いの残業代請求などにおいて『交渉』を行うと違法の可能性があるというある」
ということに関しては共通の見解を示しています。
『退職の代行』そのものにおいては
「退職の意思を代わりに伝えるだけなら非弁行為にはならない」
という弁護士の方もいらっしゃれば
「退職の意思表示をすることも法律行為だから、弁護士法に違反する可能性がある」
という弁護士の方も見受けられました。
それに対して一般の退職代行業者はどのように主張しているのでしょうか?
「退職代行業者はあくまで退職者の意思の『伝達』をしているだけ」
らしいです。
つまりただのメッセンジャーです。
実は退職代行というよりは退職伝達という方が近いのかもしれません。
ちなみに
弁護士が運営している退職代行のホームページには
ほぼ100%の確率で
「注意:一般の退職代行は非弁行為になる可能性があります」
的な記載があります。
確かにその通り、0でない限り可能性はありますし、中にはやらかしている一般の退職代行業者もあるかもしれません。
ただぶっちゃけ
ワタシは弁護士の方の一部の見解ついては
ポジショントーク
も結構入っているのではないかと思います。
特に退職代行を行っている弁護士にとっては
民間の退職代行は競合、ライバルです。
しかも料金は大抵弁護士のところより安いです。
なので弁護士はお客さんを集めるために
「民間の退職代行は違法になる可能性がありますよ」
って強調しているのではないかと思います。
また、ここで重要なのは
「非弁行為にあたる可能性がある」
と決して「非弁行為にあたる」と断定していない点です。
ここ勘違いしている人がめちゃくちゃ多いです!
弁護士がそう言っていたから、必ずそうなるってことではありません。
上司から退職できないと言われたから退職できないわけではないのと同じで
弁護士が違法になる可能性が高いと言ったから必ず違法というわけではございません。
なぜならば
実際に違法かどうか決めるのは弁護士ではなくて
裁判所の裁判官だからです。
はたして裁判ではどのように判断されたのでしょうか?
退職代行が非弁行為を行なったことに対して裁判になった例ってのは
おそらくは今の所はないです。
退職代行が世の出回ってきて数年経ち、テレビなどのマスメディアにも取り上げられる中には退職代行もありますが、『退職代行は非弁行為にあたる』という判例がまだないんですよ。
さらにもう一言念を押すと
仮に退職代行業者が非弁行為を行なったとしても
それで罰せられるのは依頼者ではなくて代行業者です。
依頼者が逮捕されるなんてことはありません。
しかし、裁判で一般の退職代行が退職の連絡をするのは非弁行為にあたるという判例が今後もずっと出ないとも限りませんし
弁護士会から潰されないとも限りません。
安いけど非弁行為になる可能性のある一般の退職代行
安心だけど料金が高い弁護士の退職代行といったところでしょうか。
どちらも一長一短です。
実はその他に、第三勢力となる退職代行があります。
『労働組合』が運営する退職代行です。
第三勢力と言いましたが、もともと民間の代行業者が進化したところが多いです。
なので労働組合の退職代行の相場は、一般の代行業社と比べても同じ、業者によってはより安いところもあります。
しかも!
なんと労働組合の退職代行は会社と交渉可能です。
あれ?弁護士以外が交渉すると非弁行為になってしまうんじゃないの?
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない
つまり例外があるということです。
実は労働組合法というものがあり
労働組合法の第6条には
労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。
とあります。
また
憲法第28条では
団結した労働者が、使用者と労働条件等の問題について交渉する権利として
『団体交渉権』が保証されています。
弁護士法第72条の『ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
の「他の法律の別段の定め」にあたると言われています。
なので、労働組合が運営する退職代行ですと交渉可能となります。
それでも重箱の隅をつつかれる可能性は0とは言い切れませんが。
まとめ
退職代行は非弁行為を行なった場合は違法になる可能性はあります。
しかし
「退職の意思の伝達」に留まっている限りでは、現状違法と判断されたケースはないようです。
ある程度実績がある代行業者でしたら『非弁行為』にならないように注意しているかと思います。
なので民間の退職代行でも退職においては問題ないと言えます。
しかし、今では労働組合が運営している退職代行もあり
安価かつ交渉も可能ですので『非弁行為』が心配であれば労働組合に依頼するのが良いでしょう。
また未払いの残業代の請求等も併せて行う場合や
会社と複雑なトラブルを抱えている場合は
弁護士に依頼するのが良いかと思います。